紛争の内容
Aさんは、夫の不貞発覚により精神的苦痛を受け、不貞相手に対して慰謝料を請求したいと考え、当事務所にご依頼されました。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉を開始したところ、不貞相手の代理人から「Aさんはすでに夫から慰謝料を受け取っている。不貞行為は共同不法行為であり、夫が支払った以上、相手方が重ねて支払う必要はない」という反論がなされ、支払いを拒絶してきました。
不貞相手側の反論に対し、当方はAさんが夫から受け取った金銭の趣旨・背景を詳細に精査しました。
その結果、夫からの金銭は不貞行為に対する賠償にとどまらず、夫婦生活の中で生じた別の理由による精神的苦痛(不当な扱いや婚姻関係の破綻に至るその他の事情)も含めた補償であったため、当方は、「夫から受け取った金銭は不貞以外も含めた総合的な苦痛に対するものであり、すべてが不貞慰謝料を意味するわけではない」と法的に反論しました。
そして、不貞相手が負うべき固有の支払責任を明確に主張し、粘り強い交渉を継続しました。
本事例の結末
法的な反論と毅然とした交渉により、相手方も自身の賠償責任を認め、結果として、相手方から90万円の慰謝料を取得する内容で合意を結ぶことができました。交渉開始からわずか4か月でスピード解決に至りました。
本事例に学ぶこと
①「配偶者から慰謝料をもらった」=「相手方に請求できない」ではない
不貞行為は共同不法行為とされるため、配偶者から支払われた金銭がある場合、「慰謝料は支払済み」と主張されがちです。しかし、その金銭が不貞以外(モラハラや別居・離婚に至る別要因など)の苦痛に対するものであれば、相手方への請求権は残ります。
②金銭の「性質」を法的に切り分ける重要性
相手方の「すでに払われているから不要」という反論を鵜呑みにせず、受領した金銭の名目や実態を正しく論理立てて反論することが不可欠です。専門家である弁護士が介入することで、適切な賠償額を勝ち取ることが可能になります。
弁護士 安田 伸一朗






