夫に不貞をされた妻から不貞相手女性に対し慰謝料請求し、任意に慰謝料の支払いを受けた事例

紛争の内容
パート社員をしていたAさんは、医療施設に勤務する夫Bと結婚5年目を迎えようとしていました。二人の間には子はいませんでしたが、夫婦関係は円満でした。
ところが、ある時期からBの帰宅が遅くなり、自宅に帰らない日も出てくるようになりました。
怪しんだAさんがBのスマホを見ると、LINEで約半年にわたり不貞関係にあると見られるBの同僚C子とのやりとりを確認することができました。AさんはBを問い詰め、Bが反省する様子を見せないため、Bとの離婚を決意し、離婚届だけでも記入をさせました。
その後裏切られたという気持ちが拭えないAさんは、C子への謝罪を求めましたが、C子は、「Bには、夫婦関係は終わっているからと言われていた」などと言い張られ、全く取り合ってもらえませんでした。
そこで、AさんはC子に対し、慰謝料150万円の支払いを求めるため、弁護士に依頼することにしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
C子は、弁護士からの通知に対しても当初責任を否定していましたが、その後弁護士に相談をしたのか、自己の責任を認め、慰謝料を任意に支払うことを約束しました。
当初150万円の慰謝料を求めていたAさんに対し、C子は①Aさん・B・C子の間で今後一切関与しないこと、②BとC子の間でも求償権を行使しないという前提で、③一括で100万円の支払いであれば任意に支払う旨回答しました。
Aさんは、請求額150万円には及ばないものの、訴訟をせずに一括で支払ってもらえるということ、三者間の関係を一回的に解決できるということを踏まえ、100万円の和解金支払いに応じることとしました。

本事例の結末
Aさん、B、C子は三者間の示談書を交わすこととし、100万円の支払いは約定通りC子から速やかに受けることができました。

本事例に学ぶこと
不貞慰謝料の相場は、100万円から300万円などとも言われていますが、実際には夫婦の婚姻期間や未成熟子の有無、不貞関係の期間、回数や悪質性等、各種事情の総合考慮となるとされているため、必ずしも裁判所で100万円以上の慰謝料を認定してもらえるとは限りません。
そこで、相手方との交渉の中で、あくまでも交渉内で納めるべきか、訴訟まで踏み切ってその分大幅な慰謝料増額を望めるかといったリスク、早期解決を望むかといった事情等も考慮しながら、交渉する必要があると感じました。

弁護士 相川 一ゑ