
紛争の内容(ご相談前の状況)
「夫が、SNSで知り合った大学生と不倫しています。今すぐ関係を終わらせ、二度と会わないと約束してほしいです」
ご相談に来られた依頼者様は、夫がソーシャルネットワーキングサービス「X(旧Twitter)」を通じて知り合った女子大学生と、不貞行為に及んでいる事実を突き止めました。
夫の裏切り行為に深く傷つくと同時に、依頼者様が何よりも強く願っていたのは、金銭的な賠償はもちろんのこと、「①今すぐ不貞関係を清算させること」、そして「②二度と連絡を取らせないこと」でした。特に、SNSというデジタルの繋がりは、関係が復活しやすいのではないかという大きな不安をお持ちでした。
これ以上、精神的な苦痛が長引くことを避けたいと、早期解決を強く望み、当事務所にご依頼されました。
交渉・調停・訴訟等の経過(当事務所の対応)
依頼者様の「将来の安心を確保したい」というお気持ちを最優先に、弁護士はスピード感をもって交渉に着手しました。今回の事案では、高圧的に一括払いを迫るだけでは、相手が学生であることから交渉が長期化するリスクがありました。
そこで、弁護士は戦略的に以下の提案を盛り込んだ通知書を、不倫相手の大学生に送付しました。
・不貞行為の即時中止と接触禁止の要求
依頼者の夫との不貞関係を直ちに解消し、今後一切、電話、メール、SNS等、いかなる手段を用いても連絡を取らないことを強く求めました。
・違約金付き合意書の作成提案
上記1の約束を確実なものとするため、「もし再度連絡を取るなどの違反行為があった場合には、違約金として別途金銭を支払う」という条項を盛り込んだ、法的な拘束力のある合意書を作成することを提案しました。
・分割払いの容認
その代わり、相手が学生で資力に乏しいことを考慮し、法的に適正な慰謝料額を分割で支払うことを認める、という現実的な支払い方法を提示しました。
この「譲歩(分割払い)」と「厳しい約束(違約金)」をセットにした提案は、相手方にとっても受け入れやすく、かつ依頼者様の将来の不安を払拭する、極めて合理的な落としどころでした。
本事例の結末(結果)
弁護士からの的確な提案を受け、相手方の大学生はすぐに交渉に応じました。
その結果、訴訟などに発展することは一切なく、「不貞関係の解消」「今後の接触禁止」「違反した場合の違約金支払い」などを定めた合意書を速やかに作成。慰謝料も、約束通り分割で支払われることになりました。
ご依頼から極めて短期間で、依頼者様の望む全ての条件を盛り込んだ形でのスピード解決が実現し、依頼者様は精神的な平穏を取り戻すことができました。
本事例に学ぶこと(弁護士からのアドバイス)
「違約金」の設定が、将来の安心につながる
不倫問題において、「二度と会わない」という口約束だけでは、不安は解消されません。本件のように、次に約束を破った場合のペナルティ(違約金)を書面で定めておくことは、相手への強力な心理的プレッシャーとなり、約束の履行を確実なものにします。これは、ご自身の心の平穏を守るための非常に有効な手段です。
柔軟な「支払い方法」の提案が、スピード解決の鍵
相手の支払い能力を無視して高額な一括払いのみを要求すると、交渉は長期化・泥沼化しがちです。相手の状況に応じて分割払いを認めるなど、支払い方法で柔軟な姿勢を見せることで、かえって慰謝料の金額や違約金の設定といった、より重要な条件で譲歩を引き出しやすくなり、結果的に迅速な解決につながります。
不貞行為の慰謝料請求は、金銭の回収だけでなく、ご自身の心の傷を癒し、未来の安心を確保するための手続きでもあります。当事務所は、個々の事案に合わせた最適な解決策をご提案します。
弁護士 時田 剛志
弁護士 椎名 慧