紛争の内容
Aさんは、夫のスマートフォンを偶然見たことをきっかけに、約8年前に夫が不倫(不貞行為)をしていた事実を最近になって知ることとなりました。
Aさんは、不倫相手である女性の「名前」と「電話番号」は把握できたものの、肝心の「住所」が分からず、個人で慰謝料を請求することは極めて困難な状況でした。そのため、今後の法的続きや相手方の特定について当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
交渉・調停・訴訟等の経過
受任後、当方は速やかに弁護士照会(弁護士法第23条の2に基づく照会手続き)を行いました。
判明していた電話番号を端緒に調査を進めた結果、不倫相手の正確な住民票上の住所を割り出すことに成功しました。
住所特定後、速やかに相手方女性に対して慰謝料請求に関する受任通知を送付しました。
本件における最大の争点は「時効(消滅時効)」です。不貞行為自体は約7年前の出来事でしたが、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(3年)は、「不貞行為および不貞相手を知った時」からカウントされます。
弁護士は「発覚したのは最近であるため、時効は成立しない」という法的な主張を明確に突き付けました。
その後、相手方にも弁護士が就いたため、お互いの弁護士(代理人)間での具体的な条件交渉へと移行しました。
本事例の結末代理人間での交渉の結果、相手方は不貞の事実を認め、最終的に求償権の放棄を前提として、慰謝料75万円を支払う内容で示談が成立しました。 住所の特定から交渉、合意書の締結まで、ご依頼を受けてから約4ヶ月という早期解決を実現することができました。
本事例に学ぶこと
①連絡先しか分からなくても請求は可能
相手の住所が分からなくても、「携帯電話番号」などの情報があれば、弁護士照会制度を利用して住所を特定できるケースが多々あります。「相手の家が分からないから」と諦める必要はありません。
②「過去の不倫」でも諦めない(時効の起算点)
不倫があったのが何年も前(本件では7年前)であっても、不倫の事実と相手を知ったのが「最近」であれば時効は成立しません。時効の判断は法的に複雑な場合があるため、自己判断せず弁護士に確認することが大切です。
もっとも、「最近知った」ことを証明する必要がありますのでその点、ご留意ください。
③「求償権の放棄」で本当の解決へ
慰謝料を支払った不倫相手は、後から夫に対して「あなたの責任でもあるのだから、支払った分の一部を返して」と請求する権利(求償権)を持っています。今回の交渉では、あらかじめこの「求償権を放棄させる」という条件を盛り込んだため、後々の夫婦関係への飛び火や二次トラブルを完全に防ぐことができました。
弁護士 安田 伸一朗






