紛争の内容
Aさんは配偶者の不貞行為を発覚したことで、精神的ショックを受け、不貞相手である人物(B氏)に対して慰謝料請求をしたいということで、弊所に相談・依頼に至りました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当方は、B氏に対し、内容証明郵便でもって慰謝料請求の通知をしました。その後、B氏に弁護士が就いたことで、双方代理人を通して話し合いをすることになりました。
しかし、交渉の初期段階でAさんが急逝するという事態が発生しました。
不貞慰謝料請求権は「一身専属的な権利(本人にしか帰属しない権利)」と捉えられることもありますが、既に請求の意思を明確にしていた本件においては、その権利は相続の対象となり、遺族(子供など)が相続人として手続きを承継することとなります。
そこで、当方は、Aさんのご遺族と相談をし、ご遺族の1人であるCさんからご依頼を受け、引き続き不貞慰謝料に関する交渉を続けることになりました。
相続人は「亡き母(または親族)の無念を晴らしたい」という強い意思を持っており、弁護士はこれを背景に、相手方の不法行為責任を厳格に追及しました。
当方は、Aさんが生前に受けた精神的苦痛は確定的な損害として存在し、それが相続されるという法理を主張しつつ、粘り強く交渉を継続しました。
本事例の結末
最終的に、裁判に至ることなく、Bさんが相手方から慰謝料110万円を支払う内容での示談を成立することができました。
相場としては、婚姻期間や不貞の期間にもよりますが、本人が亡くなっているという特殊な事情下において、相続人が110万円という金額を獲得できたことは、本人の生前の無念を一定程度汲み取った妥当な結果といえます。
本事例に学ぶこと
本件のような特殊なケースからは、以下の3つの教訓が得られます。
慰謝料請求権の相続性: 被害者が慰謝料を請求する意思を明確に示していた場合、その権利は相続人に引き継がれます。「亡くなったから請求できない」と諦める必要はありません。
迅速な意思表示の重要性: 本件で相続人が請求を継続できたのは、生前に本人が弁護士へ依頼し、請求の意思を外的に明確にしていたからです。権利行使を迷っている間に万が一のことがあれば、立証がより困難になっていた可能性があります。
感情的納得と法的解決の両立: 相続人による請求では、金銭的解決だけでなく「故人の尊厳を守る」という側面が強くなります。弁護士を通じて法的に整理することで、遺族の感情的な区切り(グリーフケアの一環)としての役割も果たし得ることが示されました。
配偶者の不貞行為を発覚し、今後の対応についてお悩みの方はぜひ弊所にご相談ください。
弁護士 安田 伸一朗




